この前、いつものように、義父の家に行った。
行く時は いつも、お米、トイレットペーパー、お酒とか と、その日に食べられるお鮨や、おまんじゅうみたいな甘いのを1個だけ、持って行っている。
義父はもう長いこと一人暮らし。
料理ができることもあって、私たちの手を煩わせることなく、一人で身の回りのことを何でもしてくれる。今はもう87歳。
玄関に車を横付けすると、父が出てくるので、急いで荷物を渡していく。
「最近どぉ?」って聞くと一行ぐらいの返答があり、その時私は顔色を見るくらい。
そして、何か足りない物がないか聞き、また電話してから行くね、と言って、すぐにそのまま帰ってしまう。
義父はお酒が好き。
私もお酒が好き。
古い家だから、お正月だって、いつもお酒を飲む男チームと、給仕をする女チームに分かれる。
私は、男と女の違いがよくわかっているのもあるし、自分の父はコテコテの九州男児でもあるので、そういう差別に慣れているし、むしろそれが好きだ。(そういう不平等の時は、逆に男は女に優しいし、守ってくれると感じる。)
そんなわけで義父と一緒に飲むことはほとんどない。
でも、このお酒が美味しかったから持ってきたよ。とか、
あれがおいしかった。これはイマイチだった。飲みかけだけど飲んでみる?みたいな、楽しいやり取りは、ある。
この前義父は、体調を崩して、一時アルコールを控えていた。
だからお酒は持ってこないでいいよと言われた。
しかしすぐ、次に行った時は、「やっぱり、お酒、もらおうかな?」と優しくフフフと笑って言ってきた。
私はなんだか嬉しく思った。
父のお気に入りの日本酒は、無濾過の樽酒。山形県の特別純米酒、「樽平」の銀。
これは日本酒好きにはたまらない美味しさです。
私も義父もこれが一番の気に入り。
そうしたら、なんと、シングルモルトの「山崎」をもらった!
最近、ウイスキーを飲んでるって話をしていたから覚えていてくれたのかも。
高いお酒だから少しずつ飲んでいたのだろう。
飲みかけだよ、ってくれたけれど、まだほんのちょっとしか飲んでいない。
私はぱぁーっと気持ちが晴れるかのように喜びの波に襲われました。
とても嬉しかった。
初めて飲むからうれしいな、って言ったら、お義父さんも、「おいしいよ」とニコニコ笑った。
全部もらっちゃっていいの?と聞いたら、いいんだよ、と言った。
ミニトマトの苗を、義父は毎年、とっても上手に育てている。
育った実を、袋に入れてためておいたものも、くれた。
子供たちと食べるね。と言ってありがたく貰ってきた。
ロックの「山崎」のつまみに、そのアイコを食べた。
とてもおいしかった。
ちょっと仕事で嫌なことがあっても、義父に何かを届けて、「ありがとう」って言ってもらえるだけで、
すっごく役に立てている気がしてきて、生きる意欲が爆上がりする。
息子たちが小さい時も、いつも一緒に遊んでくれて、お昼ご飯を作ってくれたり、お小遣いをくれたりした。
このお義父さんには感謝しかない。少しでも長く生きてもらって、親孝行のそぶりをさせてもらって、生きる意味をもらいたいって強く思っている。
私自身も、こんな生き方ができたら最高だなって思う。
【その他の最新記事】