父のお兄さんがこの前亡くなった。たぶん84くらいかな?
私の父は、その話をしたがらない。
入院していたお兄さん(私にとっての伯父)は、私から見ても、とても優し気で落ち着いた、ダンディーな人だった。
父にとっても、やさしい兄だったのだろう。
父が、父の妹さんと一緒に、そのお兄さんの病院に出かけた時も、もう話もできなくなっているお兄さんを見るのが辛かったらしく、妹さんに任せて、顔も見ないで帰ってきてしまったらしい。お葬式も(もちろん行くけれども)行きたくないと言っていた。亡くなってしまった事実を突きつけられたくないのだろうな、と思った。
この前、父の所に行った時に、父が、お兄さんとの思い出を少し語ってくれた。
それは、一緒にカラオケに行った思い出でした。
父も、お兄さんも、それぞれ持ち歌があって、それを歌うのだけれど、お兄さんが必ず「兄弟船」を入れるのだって。
そしてそれを自分で歌わずにニヤニヤとして、父に歌わせるのだって。それを嬉しそうに話して教えてくれた。
父は、その記憶を最後の記憶にしたいから、入院中でも死んだように眠っているお兄さんを、自分の最後の記憶にしたくなくて、会わずに病院から帰ってきちゃったんだろうなって思った。
その事実が、私にとっては、最初はとても意外で、でも聞いていてなんだかとても納得してしまい、強く心に残ったので、ここに書いてしまいました。
今日、通勤帰りに見た寒緋桜。